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イギリスってどんな国?

5/21-23


2010/5/21(金) 

 突如イギリスに行くことになった。大学時代の友人のNがロンドンで日系企業の社長をしていて、ある日ふと思いついてメールをしてみたら「遊びにおいで!」と気軽な返事が返ってきた・・・相当ヒマなようだ・・・これは是非遊んでやらねばと思い、行くことにしたのである。用意したのは上の写真、ほらほら、国際免許証って見えるでしょ?今回はレンタカーを借りてロンドンからリバプール周辺を走ってみようという計画だ。最近はカーナビもあるという話だ。朝の7時過ぎにセントレアの国内便に乗り、成田経由のANA便でヒースロー空港に着くのが夕方の5時ごろ。成田→ヒースロー直行便は11時間ほどかかる。今回早めに便を探したのでビジネス往復で33万円(一人)で航空券が買えた。相当安いんじゃない?もっとも20万円を切る券も あるにはあったが、経由地とか乗り継ぎ時間の問題でやめたのだ。

 ヒースローまで迎えに来てくれたN。久しぶりの再会、10年ぶりだな。10年前に趣味千山に遊びに来て3日ほど泊まって遊んだことがある。我々は一応語学 (二人とも喋れないフランス語)のクラスメートではあるが、それ以外に、二人とも歌が好きで、自作曲をギターで歌うという共通の趣味があったのだ。特にNは声が良く、歌が上手かった。二人でコンサートに出たこともある。あの薄汚れた部屋でギターを弾いていた、うらぶれた下宿の住人が今や〇〇EUROPAの社長に納まっているとは・・・空港帰りに連れて行ってもらったパブの庭でビールを飲みながら、互いの状況をのんびりと話しながらも感慨深いものがあった。出発直前に、使って気持ち良かった未発売シャンプーをお土産に持っていったのだが、出会った瞬間、その失敗に気がついた。「そんなものより良く効く毛生え薬をくれ!」と言われてしまった。

 Nの住むマンションの5階からの景色。場所はロンドン郊外のサービトン駅の近く、目の前がテムズ川で向こう岸がハンプトンコートという絶景の場所にある。ところでこの写真は夜の10時頃の写真である。まだ日が落ちていない・・・緯度からすると北海道より北にあるイギリスの夏は日が長い。だいたい4時ごろ明るくなり、10時半が日の入りだ。時刻も一時間早めてあり夏時間となっている。朝5時頃に起きてロンドンまで飛び、夜の11時まで・・・それプラス9時間(時差)もある長い一日がようやく暮れようとしている。Nが 手作りの食事を食べさせてくれて、その後自宅の近所に手配してくれたホテルでぐっすり眠る。


5/22(土)

 そのホテルのイングリッシュブレックファースト。あとで分かったが、どこに行ってもこれが定番。日本だと和食と洋食が選べるホテルが多いが、英国人はそんなことはしない。伝統を大切にする国なのだ。受け継いだ伝統を、たかが客のために変えるなんてことはしないのだ。その証拠がこの旅でいくつか出てくる。英国式の考え方とも言えるかも。このホテルの庭もその英国式である。

 ホテルの中庭。部屋は決して広くなく、むしろ狭いのだが、この庭を見てよ(写真は半分である)・・・日本人なら部屋を広くするか増やすか・・・おそらくこんな敷地を庭にとるということはしないだろう。土地が高い、住宅も高い・・・そんな中でこの庭をどう考えるか・・・これこそが考え方の違いというものだ。妙に納得し、感心する。

 

 この日はNがロンドンを案内してくれることになっていた。なにせ初めての街なので右も左も分からない。電車や地下鉄の乗り方やら、教えてもらうことは一杯ある。朝ホテルに迎えに来てくれたNと三人でサービトン駅まで歩く。それにしても美しい町並みだ。ほとんどの家がレンガ造り。Nに言わせると「家を新築しているのを見たことが無い」らしい。石造りで地震も無く昔の街を昔ながらにそのまま使っているのである。電柱も無い、電気は全て埋設である。写真で分かるとおりじょしゅは和服を着てロンドンの街を歩くのだと言ってきかない。

 サービトン駅から隣のウインブルドン駅を経て写真のウォータールー駅まで15〜20分くらい。フランス語読みをするとワーテルローとなる(Waterloo)。そこから地下鉄でどこへでも行ける。電車、地下鉄、バスを一日乗り放題という乗車券が7ポンドで買えると教えてもらう。ちなみにロンドンは混雑防止のため車の乗り入れは許可車以外は禁止。土日はいいらしいが、駐車場も少ないらしい。で、地下鉄やバスを利用する。タクシーも多いが、少し歩くつもりなら地下鉄がベストだ。

 真っ先に連れて行ってもらったABBEY ROAD。有名な交差点。ビートルズのスタジオがあった場所で、この横断歩道を歩く4人の姿がジャケットにもなったアルバム「アビーロード」・・・学生時代に何度聞いたか分からないほど繰り返し聞いた大好きなアルバムだ。この日も車が途切れるのを待って記念撮影しようという輩が何人かチャンスを待っていた。わざと4人連れにして歩く人もいる。我々も何度かチャンスを狙ったが、けっこう車の往来が激しく、そりゃ歩道を歩けば車は停まってくれるのだが、それではアルバムのような写真にはならない。先の4人も何度かやり直しの往復をして苦労している。

 で、撮った写真がこれ。ほら、後ろにもう次が並んでるでしょ?もう一回やってみる?

 ほれ、これでどうだ!。向きが反対だけど・・・何回もやってるとだんだん恥ずかしくなってくるんだよね・・・。

 アビーロードで遊んだあとはタクシーでバッキンガム宮殿・・・毎日11時半からの衛兵交代式を見たいとのじょしゅのご要望だ。以前一人で来る海外旅行は楽しくない、みたいな事を書いたことがあるが 、一緒に来れば来たで要望が多すぎるし偏っているのである。しかしうちではじょしゅは、ここに住むエリザベス女王より偉いのである。

 

 それにしても土曜日とはいええらい人出である。歩道が歩けないほど混雑している。

 ところでじょしゅは和服姿なのであちこちで声をかけられる。このテディベアみたいなポリスと写真を撮る前も若い女性が「キャー素敵!」とか何とか言いながら一緒に写真を撮ってくれとカメラを向けられていた。なかなかの大人気だ。和服を着ているとさすがに中国人に間違われることは無く、「コニチワ!コニチワ!(外人はコンニチワと言えない)」と日本人と分かってくれるのが少し嬉しい。このテディベアも「Oh Japanese traditional wear」たらなんたら言いながら目を細めていた。英国人は伝統好きなのだ。

 

 そのロンドンの伝統的な町並み、私が期待してきたとおりのタウンスケープと言って良い。150年前の時代の映画を撮ろうとして、わざわざセットを作る必要が無かったという話も頷ける。当然地価や賃貸料もバカ高い。通常の郊外の家も億単位らしい。高い安いと言えば「ロンドンの物価高」とはよく言われていた言葉だが、今回我々は適切な時期にここに来たようだ。リーマンショックまではポンドは円換算で200円〜250円ほどだった。それが今回は130円前半でほぼ半額。Nの借りているマンションも1,600£/月と言っていたから家賃40万円。それが今や22万円・・・この差は大きいよね。Nも来た当初、ロンドンでカツ丼を食ったら5000円取られたと言っていたっけ。

 

 昼は「馳走」という日本料理店で食事。写真の寿司はカリフォルニアロール(アボガド巻き)。蕎麦もなかなか旨い。日本料理店もロンドンにはいくつかあり、あとで行った「さくら」や「葉月」なども海外ということを考えると美味しいものを出していた。Nに言わせると最近のロンドンは飯が旨くなったらしいが、クソ不味いイギリス料理を漠然と期待してきた私にとって嬉しさ半分であった。日本に帰ってから「え?イギリスの食事?・・・ありゃーダメ、なんともならん・・・」なんて言ってみたかったんだけどね(笑)。

 

  ロンドンの待ち合わせ場所ピカデリーサーカス。エロスの像の下の階段に人がびっしり腰掛けている。この近くにあったマンマミーアのミュージカルチケットを予約で買っておく。日にちはチェルシーのフラワーショーが開催される28日の午後5時からだが、今買っておけば良い席が買えるのだ。右の写真はNが調べておいてくれたロンドンのアップルスタジオ。このビルの屋上でビートルズが演奏したのだ。映画「LET IT BE」の最後にゲットバックをポールが歌い、ジョンが珍しくギターのリードを弾いたのがこの屋上だったのですよ!!・・・って、マニアックすぎる?

 

  ナショナルギャラリー。玄関の写真なら撮ってもいいだろうと思ったら注意された。ゴッホ、セザンヌはじめ超有名な絵描きの作品がゴロゴロと飾ってあります。その前が広場になっていて、あのビッグベンが見えます。あ、オレっていまイギリスに居るんだ・・・と感じる瞬間です。写真でも分かるけど高層ビルが無いでしょ?全部が昔のまま。それが伝統を守るということであり、英国そのものなのでしょう。


5/23

 次の日も晴天。今日はNがゴルフと我々を天秤にかけ、ゴルフを取ったため、見捨てられた我々は仕方なく再びロンドン観光に出かけた。とは言え、昨日歩き方はだいたい教えてもらっていたので迷うことは無かった。まだ見てない場所がたくさんあるのだ。写真が2000年だかに出来たロンドンアイ。なんとこの観覧車、円周と回転軸の間はワイヤーだけで支えられている。しかも観覧席が外側に張り出すように設計されている。「これは大変危険な乗り物であるから、 乗るのはやめようではないか・・・」と進言してみたが、あっさり却下。ハーマジェスティーは高いところが平気だから困る。

 

 チケットを買うのに少し時間が掛かっただけで、あとはすぐに乗ることが出来た。乗ってみるとかなりでかい(25人乗り)観覧席だったため、意外と恐怖感が無い。ロンドンの町並みが眼窩に広がり、これは観光客にはうってつけの乗り物だ。ビッグベンや国会議事堂、テムズ川 に掛かる橋、街の様子が全部眺められる。クーラーも完備されているので暑くも無く、30分ぐらいで一回りと、速度もゆっくりだ。

 思わずヒャーッって感じですが箱がでかいので、御在所岳のロープウエーの20倍くらいの安心感があります。これは今までで「乗って良かった 」と思えた唯一の観覧車でした。それにしてもいい天気で、気温は昨日も今日も25度まで上がるとTVで言っていました。今月の中旬まではめっぽう寒かったようですが、急に春本番になったようです。北海道より北に位置するのに何故これほど暖かいかというと、 南からの暖流が流れているからだそうです。

 

 とりあえずウォータールー駅まで戻り、地下鉄で2区間ロンドンブリッジ駅まで乗って、あとはテムズ川沿いにロンドンブリッジまで散歩しました。ロンドンに来たらやっぱりロンドンブリッジ は見ておかなくてはね・・・ハハハ。水のある場所を歩くというのはいつも気持ちの良いものだ。

 

 ロンドンブリッジを南から渡るとそこに暗い雰囲気のロンドン塔・・・中世からの数々の血塗られた歴史を持つロンドン塔が建っています。その横で売っていた生カキと冷たいシャンパンで喉を潤し、少し腹が減ったのでイギリスの食べ物を食べようじゃないかと、 ファーストフード店に入った。

 で、ハーフパイントのビールとフィッシュチップ一皿、じょしゅはコーラ・・・ザッツオールです。味は予想どおりというかマンマ・・・マンマミーアでしたね。といって格段不味くもなく、普通でした。 白身はおそらくタラの身。

 

 旧型ロンドンバスと連結バス。町並みはどこを歩いても石造り。「あ、きれいだな!」って思って写真を撮るのだが、どこに行っても素晴らしい町並みばかり・・・目が慣れ始め、当初の感激がだんだん薄れてきて、風景が当たり前になってくる。地図を見ながらいろいろ歩き回り、タクシーを捕まえて大英博物館に向かった。

 イギリスでは博物館は無料である。もっとも維持、メンテナンスのために寄付をしてくれ・・・みたいなことを書いて募金箱が置いてあったりするが。中にはかつて大英帝国時代に世界中からかっぱらって・・・いや、集めてきた品々がズラリと展示してある。写真撮影も絵画と違ってOKだ。

 

 

 世界各国の実に様々なものが集められ、それぞれ地域ごとに区分けされて展示してある。何故か日本だけが別館の個室になっていた。あ、百済観音像がこんな所に・・・。

 

 面白いところでは千代の富士の手形、なんと水木茂のゲゲゲの鬼太郎まで飾ってありました。大英博物館に飾られているんだから、二人ともたいしたものですね。だけど誰がチョイスしているのかは不明です。

 ボンドストリートにて。右はチャーチルかな?ボンドストリートとニューボンドストリートはブランド店が並ぶショッピングストリートだ。ただし今日、日曜日は休んでいる店が多い。普通、観光客の多いロンドンで日曜に休むという感覚は日本では考えられないが、やはり日曜日は大昔から休んでいるのだから、今も休んでいるということだろう。どこかの店が日曜日にも開店していて、たとえそれが繁盛したとしても・・・やはり大半の店が休むのである。ヨーロッパもそうだよね。こういうところは不思議とあくせくしない。

 

 ロンドンの地下鉄と、一日乗り放題乗車券。街はもちろん、地下鉄も治安は良い。日本並みである。だいたい道行く人が良い人間が多い。何かを尋ねても、親切で愛想も良い。ぶつかってもエクスキューズではなくソーリーであるし、見知らぬ人にも何気に気軽に挨拶もくれる。

 7時ごろホテルに着くとゴルフから帰ったNが歩いてやってきて、何が食いたいかと聞くのでイタリアンが食べたいと答えると、近くのレストランに連れて行ってくれた。ペンネアラビアータ・・・ウマイじゃないか!イギリスの不味い飯はどこに行ったんだ!期待外れもはなはだしい。ゆっくり食事をして、セーヌ川・・・じゃなくて、ハドソン川でもなくて、そうそう夕暮れのテムズ川を散歩して帰る。明日からはリバプールへドライブだ。


5/24日に続く

 

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