《ナメコ探索記》 2001/11/4 文中敬称略


 11月の3日、我々o_kiraku 一風 mac 隊は長野県野沢温泉村に結集した。長野は東京、新潟、岐阜のちょうど中間点である。野沢はご存知のとおり長野県の北の端にあり、一昔前では岐阜から行くのにとんでもなく遠いというイメージがあったが(実際遠かった)、近年自動車道の発達で4時間ほどでたどり着けるようになった。便利といえば便利であるが、あっけないといえばあっけない話で、遠い道のりをやって来た・・・という達成感が無いのも事実である。いまや日本中がこんなことになっていて、昔は人が来なかったような処に多くの人々が訪れるようになった。これは良いことなのだろうか?。いや、多分あまり良くないことなのだろう。

 夕食は宿でとった。気のおけない仲間たちと、いろいろな話をしながら飯を食うのは楽しいものだ。夕刻から降り始めた雨の中、花火が上がる音が聞こえてきた。今日から野沢温泉の秋祭りだった。野沢村に十三ある公衆浴場も明後日から閉鎖、なんでも村人総出で野沢菜をそこで洗うためなのだそうだ。o_kirakuさん、良かったね、風呂に入れて。彼は春にもここを訪れ、一日で6ヶ所回ったそうな・・・。いやはや・・・。宿のすぐ近くに「松葉の湯」があり、夕食後は一風o_kirakuは早速入りに行った。私は後でのぞいたら、満員だったので、「大湯」にした。この野沢の湯は「メチャクチャ熱い」のが特徴だ。以前スキーで訪れた時に、どうしても入れず、蛇口からジャージャー水を出し薄めていたら、横にいたオジイさんから《そんなに薄めちゃイカン》と叱られた。「大湯」には浴槽が二つあり(ヌル湯とアツ湯)、ヌル湯のほうは薄めてもあまり叱られないのである。私はヌル好きなのだ。

 翌朝、旅館で「やれやれ、晴れましたね・・・」なんて言ってたのもつかの間、二台で山に登り始めると、頂上あたりが白いではないか・・・。「???」・・・そう、昨夜の雨は、山では雪であったらしい。昨日までとは確かに寒さ加減も違う。「ヒャー、ホントに雪ナメコだぞ、こりゃぁ・・・」一風が叫ぶ。北海道に初雪が積もったのも今日だ。

 登り始めてすぐに、前を走っていた一風のパジェロが止まる。指差す方向を見ると道の法面にブナの倒木があり、そこに確かに点々とナメコの幼菌が出ている。o_kirakuが登っていって写真を撮る。一応発見には違いないが、さすがに感動は無い。

 一風の声がするので行ってみると、真っ白なキノコを見つけていた。o_kirakuが「オシロイシメジ・・・に間違いないです・・・。」と同定してくれる。横にヒトヨタケも顔を出している。オシロイシメジはあとで湯掻いて味を確かめたが、はっきり言って多少臭みがあり、美味いキノコではなかった。ただ、わりとしっかりしているので、濃い味付けにすれば食えるだろう。

 さらに上に登っていく。全山、ブナである。時々車が止まっているのは、やはり皆ナメコ探しだろう。そういえば野沢村にも「天然ナメコ」と書いた看板が出ていたっけ。売るほど採れるんだ、きっと。

 しかし、その後2箇所ほど分け入って探したが、見つからない。雪の中のことで、手がかじかんでくる。我々はここを諦め、ナメコ探索隊から雪山撮影隊にすばやく変身し、写真を撮りまくった。この時期の雪景色は、珍しいといえば珍しい。

 木に張り付く一風。手に持っているのはカメラである。このアングルからの撮影が大好きなのは、小学生の頃からに違いない(笑)。

 あっちに登り、こっちに分け入る・・・せわしない一風と比べて、o_kirakuは自他共に認めるのんびり屋である。「ナメコ探しって・・・けっこうハード・・・」と言いながら、マイペースで歩く。ゆったりと散歩しながら道端のキノコを見つける・・・こんな感じが好きらしい。両対極の二人である。佇むo_kiraku・・・頭のタオルは好きなのか、癖なのか、それとも別の理由があるのか、いつも巻いている。

 業を煮やした一風がついに自分のシロに我々を導く。隊長の辛いところだ。魚釣りでも山菜取りでも、なんでもそうだが、アウトドア・・・つまり自然相手の遊びに絶対と言うことは無い。むしろ恵まれない場合のほうが多い。そんなことは分かっている。分かっているが、やはり出かける時は期待する。自分一人の時はいいのだが、仲間と行ったりする時、しかも自分が案内をする時などは、分かっていてもそれなりにプレッシャーを感じてしまうのだ。そりゃみんなの喜ぶ顔が見たいからね。当然のことだ。

 我々は沢を渡り、背丈を越すチシマザサの中を分け入り、ブナの倒木を探してはくまなく点検した。しかし見つからない。一本だけ立ち枯れたブナの根元に採られたあとを発見したのみである。

 一風が見つけたエノキタケ。冬のキノコである。おがくず栽培の白いヒョロヒョロとは似ても似つかぬ、こちらが本物である。軸が黒い。

 遅い昼飯を食い、我々は別れた。結局ナメコは見つからなかったが、この日に通った奥志賀林道は明日から閉鎖である。確かにいい時期に閉鎖になるものだ、と感心した。春の開通は6月であるとのこと。「その頃にもう一度集まりましょうか・・・」山菜鍋でもやりますか、と言いながら我々はカヤノ平経由で、一風はo_kirakuを送るので秋山郷経由で、帰路についた。


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